熱海芸妓置屋連合組合には現在約250人の芸妓衆が登録している。
熱海温泉の芸妓衆の数は、昭和38年頃から昭和61年までの間、つまり、
昭和の経済高度成長期からバブル崩壊までの間、
1000人以上もの芸妓衆がホテル・旅館の集客や売り上げに貢献してきた。当時、
芸妓衆と糸川沿いをそぞろ歩く宿泊客の笑顔が未だ脳裏を過る。客と芸者の
パパラッチされない温泉風物詩も次第に、熱海温泉の斜陽とともに消えて久しい。
///// とは言え、未だ250人以上もの芸妓衆が組合に禄を食みつつ、
熱海温泉再生への一端を担っているのだから心強い。危機意識と団結力をもって
日頃の厳しい稽古で培った芸道精神を熱海をどりで開花させたのが、
平成2年の丁度今日、4月28日のことだった。以来、数える事21回目。
////
今年の熱海をどりは生憎の雨となったものの、会場には、
外国人観光客が大勢詰めかけ満員の大盛況となった。冒頭、斉藤市長は、
芸妓置屋連合組合に対して感謝の意を伝えていた。確かに、
熱海梅園の梅祭りを皮切りに、尾崎紅葉祭など四季を通じて、
熱海市が主催する観光振興イベントへの貢献度は高い。市長は今年、
観光の新しいスタイルとして、まち歩きと体験プログラムを中心とした
温泉玉手箱を開催し、熱海芸妓を軸にお座敷遊びで熱海の伝統芸能や
文化・歴史を楽しめる観光イベントが盛りだくさん用意している。この戦略、
//// 今日の半日だけの入りを観察しただけでは、
そう軽々には結論づけられないものの、外国人観光客の関心度の高さを見れば、
熱海市だけでなく民間観光団体にとっても確かな手応えを感じたようだが、
////// 小生何故か貧乏性故、ツイツイ華やかさの影に潜む、
芸妓衆の現実的な生活基盤について考えてしまうのである。ザット数えて、
着物にお稽古、結髪に名義料、交通費から年齢的なハンディまで、
かなり厳しい生活を強いられているのが容易に想像つく。また、
熱海市主催の観光イベントに参加することで、
芸妓衆の負担も多いと聞き及んでいる。為政者はこうした芸妓衆の声を吸い上げ、
その生活の実態を把握し、漏れ聞こえてくる不満の声を
美辞麗句やオベンチャラにすり替える事なく、彼女たちへの
生活基盤安定システムを構築することで、新人芸妓獲得が容易となる。
芸妓文化と観光インバウンド、世界の保養地としての付加価値は高い。