先月小生が、
名古屋市消防局
ドローン部隊及びバイク隊の
視察を行った
「名古屋市名東消防署」では、
ドローン実機テスト飛行及び
ドローンを導入する上での
課題等についてご教示を頂きました。
詳しくご案内いたします、
先ずは、
(1)導入に向けた調査、研究について
ドローンの運用に関する関係法令や
運用マニュアル等の整備について。
ー名古屋市消防局では、
平成30年度3月から災害現場での
情報収集能力の向上を図るため、
MATRICE200を導入し
消防局消防部消防課員(日勤者)による
ドローンの検証運用を開始しました。
安全に運航できる
体制づくりを第一に、
航空法等の関係法令をはじめ
他消防本部での
ドローンの保有状況、
操縦者の教養体制、機体の維持管理、
事故時の補償体制及び
活用実績を調査し、
導入に適した機体の選定、
導入後の運用体制及び
操縦者の養成に反映することに
留意し運用にあたっては、
「名古屋市消防局消防活動用無人航空機運用指針」を
策定し運用しています。
次に、
ドローンを安全で効率的な
運用をするための訓練計画や
職員への
教育体制や危険予知訓練については、
ー当局での操縦者養成は、
平成30年1月30日消防庁通知
消防消第13号
「消防防災分野における
ドローンの活用に関する資料について」及び
航空局ホームページ掲載の
「ドローンの飛行に関する許可・
承認の審査要領」を参考として
教養をしている。
また、
具体的には外部
ドローンスクールのテキスト及び
教習内容を参考とし、
独自の筆記試験及び
実技試験を行ったうえ、
合格した者に限り
操縦者として認定し運用しています。
危険予知訓練については、
特別に設けていませんが、
訓練時において
機体の点検だけでなく、
飛行環境や気象状況等の確認を
確実に実施するなど
事故防止に努めています。
(つづく)
ウ ドローン運用に必要な知識・技術の習得や充実に向けた取り組みについて、教えてください。
ドローンを取り巻く環境は刻々と変化しているため、担当課としても法令等の整備には特に注視しているところです。また、毎年度職員1名を民間ドローンスクールに入校させ、ドローン操縦者の資格取得とともにドローンに関する最新の動向、関係法令の改正等を修得し、局内の教養及び運用に反映させています。
エ 第三者への法律上の損害賠償(対人、対物)が生じた場合の損害補償(保険加入)について、教えてください。
当局では、無保険での運用は想定しておらず、保険への加入は必須と考えています。運用中の機体は、事故時の対人、対物補償として、賠償責任保険に加入しています。また、事故時の機体の補償として動産総合保険に加入しています。
(2)ドローンの運用、体制について
ア ドローンを有効に活用するための訓練想定(例)を教えてください。
現在のドローンの運用は、火災と救助事案(水難・高所)に限った出動としています。実績からも建物火災への出動が多いことから、主に火元建物上空からの情報収集を想定した訓練を行っています。火元建物の形状(民家または共同住宅など)に応じ、有効的な飛行で情報収集活動ができるよう訓練を行っています。
イ 実災害での空中偵察は、どのようなときに実施していますか。
ドローンの飛行は、
①日の出から日没までの間
②地上風速5m/秒以下
③晴天または曇天である気象条件下
で飛行させることとしています。
現場では、上記の気象条件に加え、操縦者が他に飛行の障害の有無を確認したうえで、指揮官の下命のもと飛行させています。
ウ 林野火災での焼失面積の把握として、どのくらいの精度がありますか。
当局保有のドローンは、赤外線カメラを装備しています。住宅火災では赤外線カメラの映像から、火元建物及び周辺建物の熱源等の確認を行っています。まだ、林野火災での飛行実績はありませんが、住宅火災同様に赤外線カメラを使用し、焼失部分上空の撮影から焼失面積を明確に把握することができると考えています。
エ 災害被災地全体像や状況の把握について、どのように活用していますか。
「災害被災地全体像」ということで、大規模災害をイメージした活用についてお答えいたします。
現段階では、明確に活用方法を定めてはいませんが、地震、洪水、土砂災害など災害形態に応じ様々に活用できると考えています。市内における災害の場合には、火災兆候の早期確認や、道路等の寸断状況及び各災害場所における被災状況を上空から把握することにより、災害対策本部等に情報提供できる体制作りを検討しています。
オ 人員投入が困難な場所での情報収集の活用方法を教えてください。
本市では、令和元年8月にタワークレーンに起因する高所救助事案(挟まれ事故)が発生しました。高所かつ狭隘な活動場所における、要救助者の状況及び隊員の活動状況をドローンで撮影し、地上の現場指揮本部にリアルタイムに提示でき、有効な指揮活動を執ることができた事案がありました。
この他にも、NBC災害などは通常災害と比較し、初動に迅速な人員投入が困難な災害と認識しています。現運用では、NBC災害にドローンを出動させるシステムになっていませんが、屋外または工場などの大規模の屋内であれば早期に飛行させれば、災害対応初期に有効な情報収集が可能と考えています。
カ 救助活動などの活用方法について、教えてください。
当局でのドローンの用途は上空からの情報収集任務として飛行しています。機体の装備によっては、水難事故時における浮環などの投下も可能ですが、当局保有の機体は物件投下機能を装備していません。救助活動に直接的には関与できませんが、水難事故救助時の要救助者の検索等を実施しています。