今朝は高橋弘会長(万葉倶楽部)とのゴルフをパスして、午後2時から、
平成25年度の熱海市立図書館特別講演会に出席する。講師は予てか羅知り合いの
熱海在住で上智大学文学部教授の髙橋昭彦氏ということで外せなかった。
高橋明彦氏(1952年東京生まれ)は物腰が柔らかく、温厚で包容力のある
かたり口調で約1時間15分間、60人の聴衆を前に講義を行い、ゲーテの
ファウスト第一部(1806年)について、手塚富雄氏(ドイツ文学者)訳の
グレートヒェンの部屋から、ゲーテ”原ファウスト”のschoos(母胎=子宮)から
Busen(胸=二つの胸の谷間)の、「あこがれ」に関する乖離について解説した。
あこがれはただ
そのひとを追う。
ああ、この胸に
しかととらえて、(グレートヒェンの部屋・手塚富雄訳)
髙橋昭彦著「ゲーテ「イタリア紀行」の光と翳」(青土社刊)を
3年前に頂戴したまま未だ完読せずに積んどくの後ろめたさを払拭した、
富岡熱海市立図書館長の講演に先立ったご挨拶をご紹介する。
ー今日は髙橋昭彦上智大学教授によるゲーテ「ファウスト」の講義をして頂ます。
皆様ご承知のように、日本tドイツとは江戸時代末期の1861年(文久元年)に
当時のプロイセン王国プロシァと修好通商条約が結ばれ150年以上の歴史があります。
私の尊敬する人物の一人に、鴎外、森林太郎がおります。彼は軍医として
衛生学、陸軍衛生制度を学ぶために明治17年から21年まで足掛け4年
ドイツ各地で勉強しました。その体験を下にベルリンを舞台にした「舞姫」
南ドイツのバイエルン州州都ミュンヘンを舞台にした「うたかたの夢」、そして、
ドレスデンを舞台にした「文づかい」のいわゆる独逸3部作を発表しましたが、
その「文づかい」の舞台の一つであるマッヘルン村の中心広場には、
鴎外の石碑があり、ファウストの翻訳者であると書かれてあるそうです。
また、今日の講演会の中にあるファウストとグレートヒェンの悲劇恋愛が
鴎外の舞姫の、豊大郎とエリスに繋がっているという研究者もおります。
現在でも、そのように鴎外がドイツの人々の間に大切にされているという
現状を鑑みると、日本においてももっともっとドイツ文学に限らず
ドイツの事を知る必要、あるいは記念する必要があるのではないかと思います。
髙橋教授の講義が皆様にとりまして有意義なものになることを祈念して
わたくしのご挨拶とさせて頂きます。