ー富山と宮子の噂を聞いた佐間の父は宮子へ会いに行き、
息子との結婚はどうするのか問うた。驚く宮子。
言い訳が嘘だとばれて叱り飛ばされる寛一。
寛一は叱られた腹いせに宮子に怒りをぶつけて、心にもないことを言ってしまった。
「富山の金が目当てか? これだから女は怖い」
そう吐き捨てたのだ。
宮子は富山の考えを伝えるが、寛一は聞こうとしない。
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富山の行動に異を唱える富山の家族と親戚縁者が、
若い寛一を捨てて金持ちを選んだと言いふらし、後ろ盾のない宮子を追い詰めていく。
現代版・金色夜叉とあらぬ噂を振りまいては、陰口をたたいた。
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噂が噂を呼び、とうとう小娘が高齢者をたぶらかし、財産を奪い取ったと大騒ぎになった。
宮子の真意を問いただすために、再度呼び出した寛一。熱海の海岸で感情的に責めると、
宮子は「何度も言うが結婚ではなく養女だ。この熱海を活性化して、
利益を循環させたいと願う養父の情熱を受け継ぎたい」と根気強く説明した。
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しかし寛一は噂ばかりを信じ、宮子のいう事を何一つ受け付けない。
ついに切れた宮子は寛一を蹴り飛ばした。そして
「そうよ! 愛より金が大事。あんたより100倍も富山を愛している」と言い放った。
蹴った衝撃で就職祝いのハイヒールが折れた。折れたハイヒールと
もう片方のハイヒールも力いっぱい寛一に投げつけ、宮子は去っていく。
寛一は諭そうとする父親と訪ねてきた富山を振り切り、海外へ飛び出した。
そして金になる仕事ならどんなことでもした。愛より金を選んだ宮子への復讐のつもりだった。
だがいつしか温泉関係のバイトを選んでは従事し、
様々な温泉施設を転々として見分を広げていることに気付く。幼いころから宮子に、
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後を継ぐなら研究しろと口酸っぱく叱咤されては無視していた言葉が、
今になって寛一を突き動かしていたのだ。そして自分がいかに甘ったれでわがままか、
周囲の反応から察するようになっていく。同時に
インターネット経緯で宮子の行動を逐一チェックする。するとある日、
ホームページに富山の書いた記事が載っていた。
そこには熱海を愛する深い気持ちと、衝撃の事実が記載されていた。(つづく)