今日午後から上京、午後3時に東京駅沿いシャングリラホテル(丸の内)にて、
渡部保子氏(日本映画批評家大賞選考委員代表)及び選考会メンバーとお会いする。
前回も触れたが来年以降、選考会イベント開催地についてどのうよな
付帯条件があるのかについてお話を伺う予定である。話しだけに終わるのか、或は、
来年以降、熱海市で開催する事で権威ある”映画祭”を誘致できるのか、
先ずは幹部役員さんのお話をジックリ聞いてくる事にしたい。さて、今日から、
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日本ストーリーデザイン大賞に入賞した作品を順次ご紹介させて頂く。
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「海と山の民」東 大和
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ー熱海の海岸と山岳地帯、それぞれに沸く源泉の近くに集落を作り、
人間の目を避けてひっそり暮らす小人たちがいた。
人の目に止まらぬ早さで移動できる彼らは、互いを海の民、山の民と呼び合った。
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元は山で暮らす一つの民族だったが昔、
些細な揉め事をきっかけに海の近くに別れて暮らすようになった
数名の小人達が海の民の祖先だった。近年、海の民が利用する源泉が徐々に涸れていた。
源泉に頼って生きる小人たち。海の民は
山の民に何度か移民受け入れを嘆願したが、その度
過去の因縁を理由に断られた。
海の民は山の民の領地を侵攻する理由を欲していた。
熱海市は市役所職員に観光客集客のためのアイデアを企画させていた。
観光課の青年・青山通も温浴施設建設のアイデアを提出していたが、
凡庸な企画だと相手にされなかった。
カズヒコは山の民一の弓の名手。村一番の美人・カシノヒメと婚約していた。
タカヒコは海の民一の力持ちで魚獲りの名人。
タカヒコにはヒメノという名の妹がいた。
ヒメノは民の娘の誰よりも鮮やかな織物を紡いだ。だが、
両親が目の前で人間に殺されて以来、言葉を話せなくなっていた。
その人間はタカヒコが毒銛で刺し殺した。
「人間に見つかった小人はその瞬間から天涯孤独となり、体を残さぬよう自害するか、
見た人間を殺すか」のどちらかを選ばなければならない。
小人族を人間から守る為の鉄の掟に従ったのだ。
カズヒコは熱海市街地の路地裏で狩りの途中、
鼠の群れに追い詰められたヒメノに出会う。
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一際大きな先頭の鼠の爪がヒメノの背中を薙ぐ。その鼠の目を射貫くカズヒコ。
一斉に逃げる鼠の群れ。ヒメノの背中の傷に手持ちの膏薬を塗るカズヒコ。
そこにヒメノを探しにきたタカヒコが現れる。
ヒメノがカズヒコに襲われていると勘違いしたタカヒコは
銛を投擲しようとするが、通が現れる。
通の眼に一瞬だけ見えた小人はすぐにいなくなったが、
手の平ほどの小さな弓が残されていた。弓を手にした通は「これだ」と頷く。
カズヒコがヒメノを襲った報復を理由に、山の民に宣戦布告する海の民。
カズヒコは単身海の民の集落を訪れ、誤解を解こうとするが、
海の民はカズヒコの話を聞き入れず、人質にするため拘束する。
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カズヒコは婚約者と別れ、集落から放逐された自分に人質としての価値はない、
ただ無意味な戦を避けたいだけだ、と無抵抗を貫きながら同じ言葉を繰り返す。
そこへカズヒコを追ってきたカシノヒメが海の民に囚われる。
無関係のカシノヒメを解放しろと戒めを引きちぎり、
暴れだすカズヒコを押さえるタカヒコ。
単身敵地に乗とり込んだ上に堂々と自分の意志を主張する度胸を認めた
海の民のリーダー・タカヒコはカズヒコを信用する条件として、
三日以内にヒメノを襲った、目に矢傷を負った鼠の首を取ってこい命じる。
潔白を証明できなかった場合、布告通り戦をしかけ、
カシノヒメはタカヒコの愛人とすると宣言し、カズヒコを開放する。承知し、
出立の準備を進めるカズヒコ。そのカズヒコに豊猟を祈るマントを贈るヒメノ。
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ヒメノが丹精込めた織物は縁起が良いと評判であることを知らされ、
礼を言うカズヒコ。武器を持たぬカズヒコに己の毒銛を貸すタカヒコ。
海の民の集落を後にするカズヒコ。(つづく)